[気ままな雑談]
2021年08月15日
皆様
こんにちは!
BRILLIANTスタッフの新城です('◇')ゞ
お待たせしました!大大大好評(?)の、あの企画・・・
「勝手にブログドラマ」第三段 最新話更新です!!✨👏(拍手‼)✨
※私が本当に勝手にやっているので、不定期更新になります<(_ _)>💦
「会議室」を中心に、様々な人物のミニストーリーをお届けします♪
どうぞ、お時間のある方はお付き合いくださいませ!
▼第三話【雫と窓(前編)】はコチラから
https://www.brilliantport.com/businessblog/NEWS/20201012290.html
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※本物語はフィクションです。そのため、登場人物や団体など全て架空上の存在となります。
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第三話【雫と窓(後編)】
比嘉さんと、城間さんが見せてくれたのは
海外のどこかの箱で開催されてたであろう、ジャズバーのライブの様子だった。
快活な笑い声や豪快な話声
ジョッキガラスや瓶がぶつかり合う音
微かに聞こえる店内のBGM
画面には、カウンターテーブルであろう濃い木目調のきれいなテーブルが映っている。
撮影者であろう人物は、いかにも高級そうなロックグラスを片手にして
何やら話し込んでいる。が、英語力が中学生どまりの私には、雑踏の一部と化している。
しばらく同じ映像が続いたあと、40秒を過ぎたあたりで、急に歓声が上がる。
それと同時に画面が動き、店内のステージを映す。しばらく上下に映像が揺れた後、固定された。
画面は薄暗く、うっすら人影が動いている。ドラムロールが微かに響き、だんだんとはっきりとした音色に変化する。
途端に、さっきまでの雑踏が一切消えたので、ロール音だけが異様にぬけて響く。
ドラムスティックが華麗に宙をまわり、奏者が手に戻したと同時に、一気にスポットライトがステージ全体を照らし出し
ドラム、トランペット、サックス、トロンボーン、ピアノ、ベース、ギターが同時に音色を響かせる。
始まりの粒に、一寸の狂いはなく、スマホの画面越しにも関わらず、突き刺さる。
これが、比嘉さんのスマホから映し出されている映像だという事を忘れて
私は画面の中に取り込まれていた。
軽快なタンギング、的確なブレスのタイミング、和音の響き
奏者の技術も驚く事ながら、私が一番に魅入ったのは、ホールとの一体感。
吹奏楽の世界では、ステージで演奏が始まると、観客は静かに「音楽」を聴きいる。
それが、この横長な画面の中では、ステージの目の前では
ホールにいる人々が、楽しそうに踊ったり、口ずさんだり、歓声を上げていたりしていて
奏者もそんな人々に合わせて、一緒にリズムを刻み、ステップを踏み、一体化している。
ふと、自分自身も座っていた膝の上で、リズムをとっていたことに気づく。
わずか5分程度の時間へ、これほどまでに引き込まれた事はない。
「この動画リンク、送っていただけますか!?」
映像を見終わったあと、第一声で私は比嘉さんに食い気味にお願いした。
比嘉さんと城間さんは、少し驚いた顔をしていた。
初めましての今日、出会ってからずっと考え事ばかりで
あまり会話にも参加できていなかった人間が、急に意気揚々としたのだから無理はない。
「金城ちゃんは、すごく練習熱心でいつも真っすぐなのよ〜」
具志堅さんが、割って入ると同時に、豪快で愉快な笑い声をあげる。
それにつられて、比嘉さんと城間さんも笑い転げる。
私は、恥ずかしくなったが、皆が笑うので連鎖的に、頬の筋肉が痛くなるほど爆笑した。
「 実は、昔から表現力が乏しくて、ずっと悩んでいたんです。
ジャズは苦手意識がどうしてもあって。でも、せっかくソロパートを任せて頂きましたし
失敗しないように、うまくやろうとすると、余計に空回りしてしまって・・・。」
「やっぱり、プレッシャーをかけてしまっていたのね、ごめんなさい。」
具志堅さんは、そういうと一瞬真剣な表情に戻り頭を下げ、すぐに優しい笑顔を向けてくれた。
「性格は奏者の音になるから、金城ちゃんの音はまっすぐで、私、とても大好きなの。
でも、金城ちゃんのまっすぐな音を、ジャズの音色に乗せたら、どんな化学反応が起こるのかと思って
プレッシャーをかけていまうのは重々承知していたのだけれど、お願いしてみたの」
今まで、こんな風に誰かから自分の音を評価してもらった事はなく
ましてや、褒められた事もなかったので、驚いたまま、しばらくフリーズしてしまう。
「表現力って、一概にこうだってのはないけど、基礎は自分がどう感じながら演奏してるか、ですよね〜
ジャズは、その辺が正統音楽と比べてフランクですし、難しく考えない方が良いかも!」
城間さんが、具志堅さんの熱い想いに感化されてか、興奮気味に話す。
「ジャズって、テクニックももちろんですが、一番は奏者と一緒に音を楽しめるってのが、魅力ですよね!」
比嘉さんも、うんうんと頷きながら、自分にとっての音楽とは何たるかを語りだす。
それから、一気に火がついたように、それぞれが音楽愛を語りだしていた。
担当楽器が違うので、目指す姿は違えど、好きなジャンルや有名奏者など話に華が咲く。
(「どう感じながら演奏するか」・・・か。)
楽しかった時間は、あっという間に過ぎてしまい
大変な刺激を受けた座談会は、終了となった。
帰り際、私たちの演奏会が終わってから、打ち上げを兼ねての第二回目が約束された。
それから、曲の印象やテンポ、他パートの掛け合いなどを洗い出し
何度も原曲や、他のジャズバンドの演奏を聴き漁り、音の出し方を工夫したりした。
自分の演奏、全体での演奏を録音し、何度も聞き返す。
誰かの演奏を聴くのと、自分自身が演奏するのは、なんだか別物のように感じていたが
あの動画と出会って以来は、演奏するのが、とても楽しくなっていた。
私があの日見せてもらった動画の奏者達のように、今度は私が奏者となって
この曲の楽しさを、未来ある学生に、ジャズの素晴らしさ、音楽の可能性を感じ取ってもらいたい。
そんなおこがましい想いを胸に、とうとう、迎えた本番当日。
今回は、各地域の学生を招待しての演奏会だったため
野外で大きなステージが設営されていた。
リハーサルで、ステージに上がると、客席側にいるスタッフさんが小さく見えた。
いつもなら、緊張で足がすくんでしまうのだが、不思議をそれを感じない。
むしろ、ずっと演奏していたいくらい、本番までの時間が惜しく感じられた。
辺りが薄暗くなってきた頃、会場はたくさんの人が集まっているのが雑踏の大きさで感じられた。
いよいよ始まる。
ステージの照明が落とされ、少し薄暗い中でステージへと上がる。
私たち奏者が所定の位置につくかつかないかで、スモークの演出がなされる。
それにしても、暑い。太陽は既に落ちているはずなのに、じんわり汗が滲む。
薄暗い中でも、自分達だけは認識ができる。
目線をあわせ、呼吸を整える。
そして、私たちの音色が一斉に広く遠く響き渡る。
観客は、一瞬何が起こったのかわからなかったようだが
すぐに私たちの空間に引き込まれ、歓声が沸き上がる。
学生の若い気に、少し圧倒されながら、観客席に目をやると
踊っている子、グループでリズムをとるこ、棒立ちで圧巻されている子などいろんな表情が見えた。
リズムパートを奏でていると、その音にあわせてステップを踏んでいる子たちが
近くにいたので、その子たちに向けて演奏すると、ものすごい歓喜の声と、周りの拍手が起こる。
今、この空間では、楽器隊だけではなく、この場にいる全員で
ひとつの作品を奏でているというのが、体の毛穴という毛穴から入り込んで全身の細胞まで染みる。
そして、このフレーズが終わると私のソロパートが始まる。
音の進行に合わせて、ゆっくり深く呼吸を整える。
それまで、各々で盛り上がりを見せていた子たちも
ステージ上の一点に注目する。
バックミュージック隊のリズムに乗りながら、会場を煽る。
私の煽りに、若い学生はしっかり乗って、さらに盛り上がりの歓声を沸かせる。
私がこんな事できるなんて。
まるで他人事のように、この状況を理解している自分自身がいる事に気づく。
そうすると、自分の理性が正気に戻ろうとするので、今を楽しむという本能で押し殺す。
私たちが奏でる音楽を、こんなに楽しんでくれているなんて。
それを感じられる事が、こんなにも自分の気持ちを高ぶらせるなんて。
今日という日ほど、音楽を全身で感じたことはない。
そうして、大歓声で演奏会は幕を閉じた。
感動的な体験ができた演奏会から
数日経って、約束通り、第二回目の座談会が決行された。
もちろん、メンバーは具志堅さん、比嘉さん、城間さんで、会場も同じ場所で行われた。
相変わらず、お洒落なカフェ風のエントランスをあとに
案内されたのは、カントリー風のソファが目を引く「マーガレット会議室」だった。
「皆さん、本当にありがとうございました!」
部屋へ入ると、私は第一声で謝意を3人にむけた。
具志堅さん、比嘉さん、城間さんは気にしないで、といいつつ嬉しそうな表情をしていた。
「あの日、皆さんとのきっかけがなければ、あんなに素晴らしい感動は無かったです。
本当にありがとうございました!これからも、宜しくお願いします!」
「ほんと、金城ちゃんは真っすぐね〜!堅苦しいのはこれで終わり!
今日はね、私がおすすめするビックバンドの動画でも見ましょ〜」
そういうと、具志堅さんは画面の大きなタブレット端末を取り出しテーブルの中央へ置いた。
これはまた、正統音楽の王道で奏者の技術がところかしこに輝くものだった。
当然、また音楽談義に華が咲く。
今日は以前と違って、とても晴れやかな気分であった。
以前訪れた時は、薄暗く、灰色の印象を受けた部屋も
今日は部屋の明るい基調と鮮やかなグリーンが映えている。
窓からの景色も、以前のようにぼんやりしたものではなく
くっきりと、国道を走る忙しない車や、すぐ横の豊かな緑地公園で元気に遊ぶ子供達
潮の香りと、時折聞こえる出航船の汽笛が響き、鮮明に自分の目に映る。
もう、あの時のようにプレッシャーが映し出された雫はない。
綺麗な青空で、私は、めいっぱい背伸びをして新鮮な空気を身体にしみこませる。
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※本物語はフィクションです。そのため、登場人物や団体など全て架空上の存在となります。
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今回は、その雰囲気の柔らかさから、座談会やワークショップルームとしても
お問合せが多い「マーガレット会議室」が舞台のお話でした( *´艸`)
無事に「音楽」に乗ることができて、良かったです!
それでは、皆様、またのお話をお楽しみに!